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「この資料を分かりやすくまとめて」とAIに頼んだら、言いたいことが抜けた要約が返ってきた。何度言い直しても、少しずつずれた答えになる。こうしたとき、指示の言い回しよりも、AIに渡している情報の量や中身に原因があることがよくあります。人に仕事を頼むときに背景や目的を伝えるのと同じで、AIにも「何のための仕事か」「どこまでが前提か」を渡す必要があります。一方で、個人情報保護委員会は生成AIサービスに個人情報を入力するときの注意を呼びかけており、何でも渡せばよいわけでもありません。この記事では、仕事でAIを活用する人に向けて、渡す情報と渡さない情報を分けながら、指示を伝わりやすくする進め方を紹介します。
- 答えがずれるときは、言い回しより先に「渡した情報」が足りているかを見る
- 目的・読み手・材料・形の4つを渡すと、AIが前提を推測する部分が減る
- 個人情報や社外に出せない情報は、伏せるか置き換えてから渡す
- 一度で決めようとせず、最初の答えを見てから足りない情報を足していく
答えがずれるとき、AIの側で何が起きているか
AIは、渡された文章だけを手がかりに答えを作ります。こちらの頭の中にある前提は、書かなければ伝わりません。
足りない前提を推測で埋めている
「分かりやすくまとめて」とだけ頼むと、誰にとって分かりやすいのか、どのくらいの長さなのかをAIが推測で決めます。推測が自分の考えと違えば、答えもずれます。
目的が分からないので重みづけができない
同じ資料でも、上司への報告に使うのか、取引先への説明に使うのかで、残すべき点は変わります。目的が書かれていないと、どこを大事に扱えばよいかが決まりません。
言い直すたびに前提が増えたり減ったりする
やり取りを重ねるうちに、最初に伝えた条件と後から足した条件が混ざることがあります。何を伝えたかを自分でも追えなくなると、答えのずれの原因を探しにくくなります。
渡す情報と渡さない情報を先に分ける
指示を書く前に、手元の情報を「渡すもの」と「渡さないもの」に分けておくと、あとで迷わずに済みます。
渡したほうがよい情報
仕事の目的、読む人、使う場面、守りたい形式など、答えの方向を決める情報です。資料そのものより、こうした背景のほうが答えの質に効くことがあります。
伏せるか置き換える情報
顧客の名前や連絡先、社員の個人的な事情などは、そのまま入れずに「取引先A」「担当者B」のように置き換えます。置き換えても、仕事の中身はたいてい伝わります。
渡さない情報
契約で外に出せないと決まっているもの、社内で入力しないと決めているものは渡しません。迷うものは、社内のルールや担当者に確かめてからにします。
使うサービスの設定
入力した内容がどう扱われるかは、サービスや設定によって違います。仕事で使うサービスの利用条件を一度確かめておくと、何を渡せるかを判断しやすくなります。
一言だけで頼む場合と、情報を添えて頼む場合の違い
同じ仕事でも、渡す情報が違うと返ってくる答えの使いやすさが変わります。
最初の答えの的中しやすさ
一言だけで頼むと、最初の答えは一般的な内容になりやすく、直す前提で読むことになります。目的や読み手を添えると、最初から使える部分が増えることがあります。
直すときの手間
情報が少ないと、何がずれているのかを毎回説明し直すことになります。最初に前提を渡しておくと、直すときは「この点だけ変えて」と短く伝えられます。
あとで振り返れるか
添えた情報がメモとして残っていれば、同じ種類の仕事を次に頼むときに使い回せます。一言だけのやり取りは、うまくいった理由が残りにくくなります。
| 一言だけで頼む | 情報を添えて頼む |
|---|---|
| 一般的な答えになりやすい前提を推測で埋める | 使える部分が増える目的と読み手が分かる |
| 直すたびに説明し直すずれの原因が追えない | 直すときは短く伝えるこの点だけ変えて |
| うまくいった理由が残らない次も一から考える | 頼み方を使い回せるメモに残しておく |

AIに渡す情報をそろえる流れ
人に仕事を頼むときと同じ順番で、渡す情報をそろえていきます。
目的を一文で書く
「来週の定例会議で、部長に進み具合を説明するための要点がほしい」のように、何のための仕事かを一文で書きます。これが答えの向きを決める一番の手がかりになります。
読む人と場面を書く
誰が、どんな場面で読むのかを書きます。専門用語を知っている人か、初めて読む人かで、言葉の選び方が変わります。
材料を渡す
要約してほしい文章や、使ってほしい数字を貼ります。その前に、伏せる情報を置き換えたかを確かめます。材料がない場合は「材料はこれだけ」と書いておくと、AIが足りない部分を作り話で埋めにくくなります。
ほしい形を指定する
箇条書きか文章か、何行くらいか、見出しを付けるかなど、受け取りたい形を書きます。形が決まっていると、答えを見比べるのも楽になります。
最初の答えを見て足りない情報を足す
一度で完璧な答えを求めず、最初の答えを見て、ずれている点に対応する情報を足します。足した情報はメモに残し、次に同じ仕事を頼むときに最初から入れます。

具体例:会議の議事録から報告の要点を作る場合
ある会社員が、社内会議の議事録をもとに、上司への報告の要点をAIに作ってもらった例です。
最初は「要約して」とだけ頼んだ
議事録を貼って「要約して」と頼むと、会議の流れを順に追った長い要約が返ってきました。上司が知りたい「決まったこと」と「困っていること」が埋もれていました。
目的と読む人を足した
「部長に3分で報告するための要点。決まったこと、決まらなかったこと、部長に判断してほしいことに分けて」と足すと、報告に使いやすい形になりました。
名前は置き換えて渡した
議事録に出てくる取引先の名前や担当者の名前は、貼る前に「取引先A」「担当B」に置き換えました。報告の要点を作るうえでは、困ることはありませんでした。
頼み方をメモに残した
うまくいった頼み方をメモに残し、次の会議の報告でも同じ形で使いました。毎回考え直す手間が減り、確かめる時間に回せるようになりました。
情報の渡し方でよくある疑問
AIに情報を渡すときに、迷いやすい点をまとめました。
情報は多いほどよいのか
多ければよいとは限りません。目的と関係のない情報が多いと、AIがそちらに引っぱられることがあります。答えの向きを決める情報を優先して渡します。
長い資料を丸ごと貼ってもよいか
貼れる量はサービスによって違います。長い資料は、関係する部分だけを抜き出すか、「この資料のうち、3章だけを使って」と範囲を伝えると扱いやすくなります。
毎回同じ前提を書くのが面倒
よく使う前提は、テンプレートとして手元のメモに置いておくと、貼るだけで済みます。サービスによっては、前提を保存しておける機能もあります。
AIの答えをそのまま使ってよいか
数字や固有名詞、事実関係は、元の資料で確かめてから使います。渡した情報が正しくても、答えに誤りが入ることがあります。
職場で頼み方をそろえておくと助かること
個人の工夫にとどめず、職場で頼み方を共有しておくと、使い方のばらつきが減ります。
渡さない情報の線引きがそろう
誰がどこまで入力してよいかが人によって違うと、思わぬ情報が入力されることがあります。渡さない情報の例を職場で共有しておくと、迷う場面が減ります。
うまくいった頼み方を使い回せる
議事録の要約、メールの下書きなど、よくある仕事ごとに頼み方の例を集めておくと、初めて使う人も始めやすくなります。
答えの確かめ方もあわせて決める
頼み方とあわせて、答えを誰がどう確かめるかを決めておきます。経済産業省のAI事業者ガイドラインのように、AIを使う側の考え方をまとめた資料も、ルールを考える手がかりになります。
AIに仕事を頼む前のチェックリスト
指示を送る前に、次の点を確かめてみてください。
- 目的を一文で書いたか何のための仕事かが、指示の中に書かれているかを確かめます。
- 読む人と場面を伝えたか誰が、どんな場面で使う答えなのかが分かるようになっているかを見ます。
- 伏せる情報を置き換えたか名前や連絡先など、そのまま入れない情報を置き換えたかを確かめます。
- ほしい形を指定したか箇条書きか文章か、長さはどのくらいかを書いたかを見ます。
- 答えを確かめる時間をとったか数字や事実関係を元の資料で確かめる時間を、先に見込んでおきます。
まずは、次にAIへ頼む予定の仕事を一つ選び、目的・読む人・材料・ほしい形の4つをメモに書き出してみてください。あわせて、そのまま入れない情報に印を付けておくと、渡す前に置き換える手間も小さくなります。
実践記事をもっと見る参考資料・出典
- 経済産業省|AI事業者ガイドライン(確認日:2026年10月23日)
- 個人情報保護委員会|生成AIサービスの利用に関する注意喚起(確認日:2026年10月23日)


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