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会議の資料や提案書のスライドを、AIに下書きしてもらう場面が増えてきました。見出しがそろい、図も入り、数分で十枚近いスライドができあがると、それだけで仕事が終わったように感じるかもしれません。ところが、見た目が整っているスライドほど、中身の確認が甘くなりがちです。元の資料にない数字が入っていたり、図の矢印の向きが説明と合っていなかったり、言い回しが自社のふだんの言葉と違っていたりすることがあります。発表の場で質問されて初めて気づくと、説明に困るうえ、資料そのものへの信頼も下がります。この記事では、仕事や事業の進め方を見直したい人に向けて、AIで作成したスライドを人に見せる前に見直すときの順番と、見落としやすいところを紹介します。AIの活用をやめるのではなく、任せる部分と自分で持つ部分を分けて考えるための材料にしてください。
- AIで作成したスライドは、見た目より先に「元の資料と合っているか」を見る
- 数字・日付・固有名詞は、一枚ずつ元の資料に戻って確かめる
- 図やグラフは、形が整っていても中身の関係が正しいとは限らない
- 画像や他社の資料の扱い、入力した情報の扱いも、社内の決まりに沿って確かめる
AIで作成したスライドで見落としやすいところ
AIが作るスライドは、短い時間で形が整います。そのぶん、どこを見落としやすいかを先に知っておくと、見直しの手間を減らせます。
元の資料にない数字や言葉が入る
AIは文章のつながりを整えようとして、元の資料にない数字や言い回しを足すことがあります。それらしい数字ほど目に留まりにくいので、気づかないまま残りやすくなります。
図の形と中身が合っていない
矢印や枠を使った図は、見た目がきれいでも、つながりの向きや順番が説明と食い違っていることがあります。図は文字より読み飛ばされやすいので、見落としが残りやすい部分です。
言い回しが社内の言葉と違う
AIは一般的な言葉を選びやすく、社内で決まっている呼び方や、取引先に合わせた言い方とずれることがあります。読み手が引っかかる原因になり、意味の取り違えにつながることもあります。
見直しを始める前に用意しておくもの
見直しは、スライドだけを眺めていても進みません。照らし合わせる材料を手元に置いてから始めます。
AIに渡した元の資料
AIに読み込ませた資料や、指示に書いた内容を開いておきます。スライドの内容が、この中のどこから来ているかを確かめるために使います。
数字の出どころが分かるもの
売上や件数などの数字は、元になった表やシステムの画面を用意しておきます。資料に書かれた数字をそのまま信じるのではなく、出どころまで戻れるようにしておきます。
社内の決まりや用語の一覧
生成AIの使い方についての社内の決まりや、よく使う用語の一覧があれば手元に置きます。経済産業省のAI事業者ガイドラインのように、AIを使う側の心がけをまとめた資料を参考にしている会社もあります。
誰に何を伝える資料か
発表する相手と、そのスライドで決めてもらいたいことを一行で書いておきます。見直しのときに、残すスライドと削るスライドを決める目安になります。
見た目の確認と、中身の確認の違い
見直しというと、文字の大きさや配置を整える作業を思い浮かべるかもしれません。AIで作成したスライドでは、それとは別に中身の確認が必要です。
見るところ
見た目の確認では、文字の大きさ、色、配置のそろい方を見ます。中身の確認では、数字、日付、名前、図の関係が、元の資料と合っているかを見ます。
かかる時間
見た目の確認は、スライドをめくりながら短い時間で進められます。中身の確認は、元の資料に戻って照らし合わせるので時間がかかりますが、ここを省くと発表のあとで困ることがあります。
任せやすさ
見た目の整え方は、AIやテンプレートに任せやすい部分です。中身が正しいかどうかは、元の資料を知っている人が確かめる部分として、自分で持っておくほうが安心です。
| 見た目の確認 | 中身の確認 |
|---|---|
| 配置や色を見る文字の大きさなど | 数字や図を見る元の資料と照らす |
| 短い時間で進むめくりながら | 時間がかかる一つずつ確かめる |
| AIに任せやすいテンプレートも使える | 自分で持つ元の資料を知る人が |

AIで作成したスライドを見直す進め方
次の順に見直すと、大事なところから確かめられます。時間が足りないときも、上のほうから進めておくと安心です。
数字と固有名詞に印を付ける
全部のスライドを通して、数字、日付、会社名、商品名、人の名前に印を付けます。この段階では直さず、確かめる場所を洗い出すことだけに集中します。
印を付けたところを元の資料と照らす
印を付けたところを一つずつ元の資料と照らし合わせます。元の資料に見当たらない数字は、出どころが分かるまで使わないか、削っておきます。
図とグラフの中身を確かめる
図の矢印の向き、順番、グラフの目盛りと単位を見ます。説明の文章と図が同じことを言っているか、声に出して説明しながら確かめると、食い違いに気づきやすくなります。
言い回しを自社の言葉にそろえる
社内で決まっている呼び方や、相手に合わせた言い方に直します。言い切りが強すぎる表現や、根拠のない「〜が期待できます」のような文も、この段階で見直します。
画像と引用の扱いを確かめる
スライドに入れた画像や、他社の資料から引いた図や文章の扱いを確かめます。特許庁が知的財産権についてまとめているように、他人が作ったものには権利があるため、迷うものは社内の担当者に相談してから使います。

具体例:営業会議の資料をAIで作成した担当者の場合
月に一度の営業会議の資料を、AIで下書きするようにした担当者の例です。
最初は見た目だけ整えて出した
はじめは、AIが作ったスライドの文字の大きさと色だけを整えて会議に出していました。会議の途中で、前の月の件数が元の表と違うと指摘され、その場で答えられませんでした。
数字に印を付けるようにした
次の月からは、提出の前に数字と商品名に印を付け、元の表と照らし合わせるようにしました。すると、AIが前年の数字と今年の数字を取り違えていたスライドが見つかりました。
図は口で説明して確かめた
流れを示す図は、自分で声に出して説明しながら見直しました。矢印の向きが逆になっていた図を一枚見つけ、作り直しました。
任せる部分を決めた
見出しや並べ方はAIに任せ、数字と図の中身は自分で確かめる、と分けて考えるようにしました。見直しにかかる時間はあまり変わらず、会議での指摘は減ったと感じています。
AIでスライドを作成するときによくある疑問
AIでスライドを作成して見直すときに、よく出る疑問をまとめました。
AIに見直しまで頼んでもよいか
誤字や言い回しのばらつきを探してもらうのは、手間を減らす助けになります。ただ、数字が元の資料と合っているかは、AIに聞いても正しく答えるとは限らないので、自分で確かめる部分として残しておきます。
社内の資料をAIに読み込ませてよいか
会社によって、AIに入れてよい情報の決まりが違います。社外に出してはいけない情報が含まれていないかを確かめ、決まりが分からないときは担当の部署に聞いてから使います。
見直しにどれくらい時間をかければよいか
スライドの枚数や、見せる相手によって変わります。社外に出す資料や、数字で判断してもらう資料ほど、中身の確認に時間を取っておくのがよいでしょう。
AIが作った文章をそのまま使ってよいか
そのまま使える文章もありますが、自社の言葉や事情に合っていないこともあります。発表する人が自分の言葉で説明できるかを目安に、直すかどうかを決めます。
見直しを次の資料づくりに生かす
見直しで見つけたことを残しておくと、次にAIへ頼むときの指示を良くできます。
見つかった間違いを書き残す
数字の取り違えや、言い回しのずれなど、見直しで直したところを短く書き残します。同じ種類の間違いがくり返し出ていれば、次の指示で先に伝えておけます。
指示に元の資料の範囲を書く
AIへの指示に「この表の数字だけを使う」「元の資料にない数字は入れない」のように書いておくと、見直しの手間が減ることがあります。
よく使う用語を渡しておく
社内の呼び方や、使わない言葉の一覧を、指示と一緒に渡しておきます。言い回しを直す手間が少なくなります。
AIで作成したスライドを出す前のチェックリスト
AIで作成したスライドを人に見せる前に、次の点を確かめてみてください。
- 数字の出どころを確かめたかスライドにある数字が、元の資料のどこから来ているかを確かめたかを見ます。
- 固有名詞は正しいか会社名、商品名、人の名前、日付に間違いがないかを確かめます。
- 図と説明は合っているか図の矢印や順番、グラフの単位が、説明の文章と食い違っていないかを見ます。
- 自社の言葉になっているか社内の呼び方や相手に合わせた言い方にそろっているかを確かめます。
- 画像と情報の扱いは大丈夫か画像や引用の扱い、AIに入れた情報が社内の決まりに沿っているかを確かめます。
まずは、次にAIで作成したスライドの数字と固有名詞に印を付け、元の資料と一つずつ照らし合わせてみてください。図は声に出して説明しながら見直すと、食い違いに気づきやすくなります。
実践記事をもっと見る参考資料・出典
- 経済産業省|AI事業者ガイドライン(確認日:2026年10月26日)
- 特許庁|知的財産権について(確認日:2026年10月26日)


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